卒業式。
「先生、」
「ん?あぁ、あやの。」
「どうです?可愛いですか?私の袴姿は。」
「あぁ、可愛いよ。もう会えないとなると悲しいな。」
「そうですね…」
先生、もう会えないのかな。
先生、私のこと忘れちゃうのかな。
「先生。私、先生のこと、すごく好きでした。」
「ん?それは先生としてか?嬉しいこと言ってくれるな。」
「そうです。大好きでした。」
違います。先生としてじゃないです。
1人の女子として。
恋愛として、先生のことが好きなんです。
どんなに思っても言えるわけない。
言ったって、先生は結婚する。
先生は先生であって、それ以上でもない。
「先生、ホントに好きでした。
3年間、いつもありがとうございました。
優しくて、バカみたいに天然で、
いつも笑ってて、ダサいとこもあるけど、
大好きでした。
先生、忘れないでください、私のこと。
ほんとに、ありがとうございました。」
「ん、お前は生徒でしかないけど、
それでも、毎日ちょこまかと俺の周りにいて
ほんと、大切な生徒だったよ。
卒業おめでとう、あやの。」
私は先生に一礼だけして、歩いていった。
涙が止まらないから、
先生。