土曜の夜、
背中に呼吸を感じながら、
窮屈に眠ったこのベッド。
彼より少し早く起きれたら、
眠っている彼の頬を
人差し指で押してみたりして、
顔をしかめる彼を一人で笑った。
なかなか起きてくれない
彼への、
愛しさと憎しみが心地よくて、
幸せで、
幸せで二度寝だって出来た。
彼はいつも目覚めが悪くて、
朝は二人とも無口に過ごした。
最後の日に、彼からもらった
メールは、未だまともに
見ることが出来ない。
飛行機に乗る前に、
引越しを手伝ってくれたことも
含め今までありがとうと
メールを送った。
返事を見たのは、この街の空港に
着いてからだった。
見送ってくれた駅のホームから
泣き通しで、
やっと息が出来るように
なったころだった。
パンパンに膨らんだ
ボストンバッグが
流れてくるのを待ってる間に、
ノーメイクなうえに、
泣き過ぎではれぼったい顔を
帽子で隠して、
携帯電話の電源を入れた。
到着後すぐ合流するはずの
ママと妹から連絡があるかも
しれなかったからだ。
新着のメール1件が
母や妹からではなく、
一番触れたい彼からのもの
なのは感じてとれた。