「色々?」

「昔は優しかったのよ?
いたずら好きではあったし、昔からたくさん抱えていたけれどね」

「それを粃は知ってるの?」

「知っているわ」

「なら……「でもね」……っ」

「踏み入ってはいけない事も、あの子達自身が乗り越えなければならないことも知っているわ」



双子が抱えているものは決して軽いものではない。

だからといって、手を貸して軽くなるのかと言われればきっともっと重くなる。

今の双子はきっと自分で乗り越えなければ壊れてしまう。

昔も今も本質は変わっていないだろうから。



「双子は兄にとても懐いていたから辛いことも沢山あったのよ」

「もしかして……」



私は立ち上がり、制服についた芝生を払った。
そして妃海に背を向けたまま言い放つ。


「兄は死んだわ。
二年前……くだらない族同士の“勘違い”でね」

「……っ」



知り合い?
そんなものじゃ優しすぎる。

同じ思いを抱えた同志よ。

そして、あの子達は……とても可哀想な子。