~蓮~
今日から、大学かぁ・・・
しかも、入学式・・・
めんどくせぇな。

俺は、普通に道を歩いてた。

桜の木の下に、女がいる。
何泣いてるんだろ、あいつ。
って、あいつ・・・
どっかで見たことあるような?
入試の時にいた女。
入試の日に遅刻ギリギリで会場に入ってきた女だ。
だって、俺がこれから通う大学は、女なんてめったに入ってこない。
だから、覚えたくなくても覚えてしまう。

泣いてたと思ったら、大学と逆方向に行ってしまった。
こいつ・・・
場所分かるのか?

「面白いやつ・・・」
俺は、鼻で笑ってしまった。

そしたら、またあの女が戻ってきた。
案の定道に迷ったらしい・・・

助けてやるか・・・

俺は、後ろから声をかけた。
「何、あんた道に迷ってんの?」
その途端女は、下を向いた。

こいつ聞いてんのか?

めんどくせぇ、一回で答えろよ。
「〇〇〇大学探してんの?」
答えてくれないから、俺は、女のスマホを覗いて言った。
「は・・・ぃ・・・・」
やっと返してくれた返事が思ったよりも小さかった。

俺は、その女が俺を避けてることに気づいた。

「あんた、そんな声じゃ分からない。今までは、そんな声でも相手に聞こえたかもしれない。でも、ここは都会だ。田舎みたいに通りすぎる人全員が親切なわけじゃない。だから、助けて欲しいならちゃんと相手に聞こえる声で言葉で伝えな。」
俺は、親切に言ったつもりだった。

でも、その女は、俺を怖がっていた。


俺は、その後、俺は、道だけを教えてとっととその場から立ち去った。






この時、俺はまだ知らなかった・・・
その女が、俺の大切な存在になるなんて・・・・