「好き、だったよ。ちゃんと」


「じゃあなんでだよ……」


「好きだけど、ヒロがあたしだけを見てくれなかったから。あたしはその人に惹かれてた」



これは嘘じゃない。
あたしは悠貴に惹かれてたんだから。



「そいつと付き合うのかよ」


「その人もあたしのこと好きって言ってくれてるからね」


「……そうかよ」



ヒロの顔が見たこともないぐらい暗い顔になっていく。



「ヒロ、次はちゃんと大事にしなよ」


「次なんてねぇよ……」


「……ヒロ」



切なそうな顔をしてあたしを見上げるヒロに胸がきゅうっとなる。



「俺が悪いのはわかってる」


「ヒロ……」


「俺がフラフラしてたから。そんなことしてたらいつかはこうなるって分かってたのに。ごめんな、心結」



あたしの頭をぽんっと叩く。



「今までありがとね」


「こっちのセリフだよ。俺、心結のこと大好きだったよ」



ぎゅっとあたしをだきしめる。