「心結、頼むから考え直してくれよ」


「無理だから」



ヒロを振ったはずのクリスマスイブの次の日。今日はクリスマス。

お母さんが普通にヒロを家に入れてしまって、あたしの部屋にヒロがいる状況。



「心結が好きなんだよ。わかってくれよ」


「今更なに?もう限界なの」


「心結だって俺が好きじゃねぇのかよ」



あたしの横に座ってあたしをぐいっと引っ張る。



「もう好きじゃないよ」



──好きなくせに。
嘘をつく。



「昨日まで好きだって言ってたじゃん」


「今はもう別の人が好きだから、ごめん」



──そんな人いないのに。
嘘に嘘を重ねていく。



「だれだよ、そいつ」


「ずっと電話してた男の子」


「ずっと……?」



架空の人物像を作れるほど、器用ではないので。
悠貴を借りる。



「うん。今年の六月くらいからずーっと」


「……んだよ、それ。俺のこと好きだったんじゃねぇのかよ」



傷ついたような顔になるヒロ。