「まぁ、イブに自分じゃなくて元カノ選ばれたら溜まったもんじゃねぇだろうな」



ぽんっとヒロの頭を叩く。



「どうすりゃよかったんだ……こいつはここにいてほしいとか言うし、心結は好きなら来いって言うし……もう、わけわかんねぇ……」



頭を抱える。



「ほんと不器用だな」



前はこんなに不器用じゃなかったはずなんだけど、俺の記憶が正しければ。



「わかんねぇんだよ、俺は心結の言う通りずっと桜が好きだった。でも……」


「いまはその子のことが好きなんだろ?」


「桜のことを忘れるために心結と付き合ったはずなのに、気づいたらすげぇ好きになってた」



心結を思って遠い目をするヒロ。

俺はヒロに何をしてあげられるのかな。
そして、心結は?
いま、泣いてないかな?



「ちょっと電話してくる」



ヒロに告げて廊下に出る。


心結が泣いてるかもしれないと思ったら、いてもたってもいられなかった。

好きなやつの涙なんかみたくない。
会ってないから見れねぇけど。