「荷物ここおいて、このエプロンしろよ」



奥から出てきた唯斗にエプロンを渡される。



「ありがとう」



唯斗がつけてるエプロンと同じもの。
前のあたしならこんなささいなことでも、おそろいとかって喜んでるんだろうな。



「エプロン、お揃いだな」



あの頃のあたしが言いそうな言葉を口にするから、ビックリして唯斗を見上げる。



「……唯斗、あたしはもう」


「わかってる。でも俺が一緒にいたい。クリスマスまでのバイトだろ?」


「うん」


「仕事でだけど、心結と一緒にクリスマスに入れることが嬉しいよ」



唯斗の言葉にはたしかにあたしの胸は反応する。

それが過去の想いからなのか、それとも別のなにかなのか。



「……そっか」


「立場逆だよな。あの時苦しめた罰かな」



悲しそうな顔にぎゅうっと胸が押しつぶされそうになる。



「苦しめた、なんて……」


「実際苦しめただろ。いますげぇ幸せそうで悔しいな」



今度は泣きそうな顔になる。



「そんな顔、しないでよ」



あたしはそう唯斗に言うだけで精一杯だった。