『……心結』


「え?」



突然カズくんに呼び捨てにされて不覚にも胸がドキリとなる。



『悠貴みたいに呼んでみただけ』


「別に呼んでもいんだよ?」


『……好きになりそう。心結のこと』


「……っ」



カズくんのセリフに言葉を失ってしまう。

こんな時、どうしたいいのか。
相手は悠貴の友達だ。



『悠貴の彼女なのにごめん』


「……カズくん」


『……っ、ごめん。忘れて!なかったことにして!』



こういう時、他のみんなはどうしてるんだろう。



「大丈夫?」


『気、遣わせてごめんな』


「……ううん」



電話はそこで終わった。

なんて言うべきだったのだろうか。
ハッキリとした返事をすればよかったのだろうか。

なんなんだろ。
ヒロといいカズくんといい、悠貴がいない時にどうしてあたしを揺らそうとするのだろうか。

揺れてしまうあたしがいけないのだろうか。

お願いだから、早く。
早く、悠貴に会いたい


ただ、その願いだけだった。