この木のトンネルなんか懐かしい。
「ねーねー。美空。あのね私、ここに来たことある気がするんだー。」
今思ったことを言ってみた。
不思議。
美空だったらさらっと言える。
お母さんにも言ってないことまで。
「美空は?生まれた時からここ?」
少し気になったから聞いてみた。
「うん。多分。」
多分???何で??
「え?何で多分?」
「なんか小さい頃の記憶が無い……の。」
マジ、で、
美空はハッとした顔になって黙りこんでしまった。
聞いて後悔する私。
そこの沈黙は辛い。
私達だけ何も無い、モノクロの世界にいるみたい。
「ね、ねぇ。」
ねぇまで言ってそこから言葉が出てこない。
なんて情けないんだろう。