何年経っただろう。

俺は市民プールの監視のバイトをしている。
誰も溺れないように。

あの夢は今でも忘れない。
花火の音をきくと余計思い出す。

あの時俺は交通事故に遭い、生死の境をさまよっていたそうだ。

その時に見た夢。

波っていう少女と花火大会に行く夢。

その波ってのは、俺が大昔に飼っていたメス猫。
よく、自室で趣味の絵を描いていると邪魔してきたっけ。

花火大会の日に、たい焼きをかっぱらってきたときに、川に落ちて死んだ猫。

きっと、俺が生きて帰れたのも、波に怒鳴られたおかげ。
花火の咲く音が聞こえると、俺はたい焼きと猫を思い出すんだ。


波、ありがとう。










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