彼女はそう言って立ち上がり、人混みの方へ駆けて行った。

「なんなんだよ…」

自分でも悲しいのか安心しているのかわからなかった。

そして…

告白されたら、どうしようか。

まだあまり関わったことないから、お試しで付き合ってみようか。
それとも、いずれ訪れると願いたい運命の人を待とうか。
女子の泣き顔はみたくない…なんてドラマによくありそうなセリフが頭をよぎる。

「いやいや…」

ボソボソと独り言を呟くが、花火の音がかき消す。


ヒュ〜〜ッ、ドォン!!!

何発目の花火だろうか。

そろそろ帰ってきてもいい頃なのに、帰ってこない。