けれども何故だろう。

手が、背中が、体が、浴衣が、髪が、じわじわ濡れてくる。

髪から水滴がこぼれ始めたとき、つい、耐えられなくなり…

「ごめん、もう、帰るね」

彼の手をのけ、立ち上がる。
すると、私が座っていたところは、水溜りになった。

君はすごく驚いた顔をしていた。

涙なのか水かわからないけど、びしょびしょになった私の顔を見ていた。

ハッとしたように彼は言った。

「おい、波、どうした…っ?!」…好き」

君は慌てていたけど、一番伝えたかったことを伝えた。

君はまた驚いた顔をした。

「色々…驚かせてごめん……好きだった…今日は……ありがとう」

彼は目を見開いたまま。