「……前に大きなバイクに乗ってた?」
知っててくれた、と感動する。
「ああ。今度、後ろに乗る?
って、俺、怪しいヤツみたいだな。
俺、コウスケ、青蘭学院1年」
え?と目を見開いて俺を見上げた彼女にドキっとする。
「青蘭学院?学校はもう終わりなの?」
「ちょっと、サボり気味?」
「アハハ、そうなんだ。学校は行ったほうがいいよ。
でも、あの学校にもサボるひとがいるんだね」
ケラケラ笑う彼女に少し驚いた。
「まぁな。あのさ、名前、聞いていいか?」
「ニシダユイカ。そこの学校の1年よ」
「同じ1年生なんだ」
「同い年には、見えないわね。ちょっと老けてるって言われない?」
「そっくりそのままその言葉返すよ」
え〜っ?と俺を見ながら驚く姿は、茶目っ気たっぷりだった。
それから駅までの10分ほどの時間は幸せだった。
彼女はよく笑って、明るい人だった。
駅の改札まで送り、ありがとう、と言い合って別れた。