翌日も授業が終わるとすぐに家に帰った。
「コウスケ……?」
制服姿の唯歌がシャッターから覗き込んだ。
「おかえり。入って」
そのまま、手を取って部屋に連れて行った。
「あの、昨日は……ごめんね。
週末忙しくて疲れてて、ゆっくりコウスケと会うつもりだったのに、家族も疲れて体調崩してるのが急に気になって……八つ当たりだったの。
コウスケが優しいのは、分かってるけど、知らないことも多いし、多分、お互いに言えないこともあるだろうけど、何も心配してくれないのかなって思って、わがまま言っただけなの」
話しながら、少しずつ俯いていく唯歌が、ごめんね、と小さな声で言った。