今年も、唯歌の命日が近付いた。



花を供えて、線香に火をつけて、手を合わせた。


唯歌、唯歌………

俺は、自分で家族を作ったよ。


自分より大切な宝物もできたよ。


このまま、幸せに過ごしていいか?

怒ってないか?


…………コウスケ、殴るよ…………



優しい唯歌の声が聞こえた気がした。


俺を呼び捨てする女は、後にも先にも、お前だけ、だよ。


またな。