3月最終の金曜日の夜。

仕事終わりにミリを迎えに行く。


一泊分の荷物なのだろう、小さめのボストンバックを持ってR社本社から少し離れた駐車場の前でミリが待っていた。


車を停めると、自分で助手席のドアを開けて乗り込んできた。


「お疲れ様、忙しかったんじゃないの、功介さんも」

「まあ、時期が時期だからな」


笑いながら言うと、ちょっと笑って、みんなそうよね、と言ったミリは、少し疲れているようだった。


「疲れてるのか?」


車を発進させながら聞いた。


「そうね。今から豪華な食事は遠慮するわ。
何か、うどんでも食べていかない?」


「いいよ。じゃあ行こう」


途中の蕎麦屋に入り、食事をしてからホテルにチェックインした。