海岸の入り口近くの堤防のようなコンクリートに、4人で座った。


「大丈夫か?」


龍が聞いてきた。


「あぁ、大丈夫。指輪を唯歌のところに置いてきたよ。

アイツはもう、止まった時間にいた。

遺された者は生きていくしかないって、歌織ちゃんにもご両親にも言われた。

あの家族は、強くて優しいよ」


「ご両親に会ったのか?」

昌が驚いて言った。


「ちょうど帰ってきてさ。
責められるかとおもったけど………優しかった」


そうか、と呟いたのは優。

額に両手を当てた俺の背中を叩いたのは、龍。



「生きていく……か」

ポツリと昌が言った。


しばらく誰も話さず、波の音だけが聞こえていた。



「俺、留学するかもしれねぇ」


優の言葉に、顔を上げた。

がんばれよ、と昌が言った。



やっぱり、お前と歌織ちゃんは、夢が違いすぎるよ、と思って、苦笑いした。




湿度が高い、生暖かい潮風が吹く、夜だった。