俺が電車で来たことも学校をサボったことも歌織ちゃんは驚いていた。

優と別れて歌織ちゃんの自転車を押しながら、サイタ家へと向かう。

歌織ちゃんの家は、分家で離れとは言え、やっぱり広い。



客間でお茶を出してもらった。


しばらく喋ったあと、客間を出て、廊下から和室に入った。


唯歌の遺影が微笑んでいるのが見えて、鼻の奥がツンとする。


ロウソクに火をつけた後、座蒲団を置いた歌織ちゃんが、頭を下げて仏壇の前を勧めてくれた。



座蒲団を避けて畳に正座をして、ただ遺影を見つめた。