あみは母親の手を離して、赤信号を無視しこちらに走りだした。
「あみ!!!」
母親がビックリして叫ぶ。
あみの方へ、自動車が向かってきのだ。
俺は危ないと思う時もなく体が勝手に動いた。
あみの身を抱いて、俺は自動車に突っ込まれ死んだ。
周りの声が遠ざかり、気がついたら目の前に天使がいたのだ。
「やっと思い出した…!お前があみなんだな!」
よりいっそう強く抱きしめようとするが、体が透けてしまう。もうあみのぬくもりも感じない自分に悲しくもなり、目から涙が止まらず溢れだす。
「生きてて…よかったっ!」
「お兄ちゃん……泣かないで…」
透けていても心配そうに俺を抱きしめるあみの心の暖かさは感じることができた。
「あみっ!」
後方から聞き慣れた声がした。
「ママ!」
「探したわよ!またフラフラして!」
その声は母親だった。
こんな最後に母親に会うなんて…。