藤井のお母さんにも、たまに玄関先でばったり遭遇することがあって挨拶くらいはする仲だけど、私と藤井のこと、どう思ってるんだろう?


笑った顔は藤井にとっても似てるけど、藤井のお母さんはどちらかと言うと綺麗な人で、話し方も落ち着いていて柔らかい。


……もし、藤井と結婚とかなったら、お義母さんになるんだよなぁ。……って、嫁にもらって貰えるかも分かんないし、ずっと一緒にいられる保証もないんだけど、ね。



やっぱり、考えちゃうじゃん。
嫁ぐなら、藤井がいいなって思っちゃうじゃん。


こう見えて、女の子なんだよ、私。


「ねぇ、藤井」

「んー?」


放課後、家の近所の公園のベンチに並んで座る私と藤井。結局、【また夏乃に移ったらやだから来んな】と、寝込んでる間1度も看病に行かせてくれなかった藤井のせいで、こうして会うのは本当に久しぶりに感じる。


多分それは藤井も同じで、だからこそまっすぐ家に帰らずに公園に寄り道したんだろう。


藤井が運転するチャリが、公園に入ったことに気づいたとき『あ、まだ一緒にいれる』って素直に嬉しかったから、特別何も言わなかった。


もちろん真冬で風は冷たいし寒いけど、

もうすっかり紅葉も終わって、子ども1人遊んでない寂しい小さな公園だけど、



でも、隣に藤井がいてくれる。
それが私にとって、1番しあわせだ。