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「まじしんどかった〜!!」
隣で大きく伸びをしながら「ありえねぇ」とボヤくのは、私が高熱を上げ、そして晴れて藤井と気持ちが通じあったあの日に、たーっぷり!私から風邪菌をチャージしたばっかりに、次の日から5日間も高熱にうなされた藤井だ。
「立花くんも私も次の日には熱下がったのに、藤井だけ長かったね」
「絶対、夏乃の呪いだわ」
「ざまぁみろ」
結局、気持ちが通じあったあの日、藤井は学校をサボって夕方ママが帰ってくるまで傍にいてくれた。
挙句、帰ってきたママは藤井を見つけて『あら、藤井くんまだいてくれたの?』なんて呑気に笑った。
藤井がいることを、ママはなんて思うだろうって少しドキドキしてた私の心は、脳天気なママの声で一瞬に鎮まったのは言うまでもない。
藤井が帰ってから、やけにドキドキする胸を抑えて藤井と付き合ったことを報告した私に、一瞬ママはキョトン顔して、
『え!?今日?……毎日一緒に学校行くし、帰りも送ってもらったりしてたから、てっきりずっと前から付き合ってるんだと思ってた』
なーんて、言われて拍子抜けしてしまった。
あー、だから風邪で寝込んでる娘の部屋に、あんなにも簡単に藤井を送り込んで来たのか!とやけに納得したりして。
でも確かに、報告こそしてなかったけど、あんなに毎日一緒にいるのを見ていたら、そう思うのも無理ないのかもしれない。