「なんか夏乃……また熱上がった?熱い」
「ふ、藤井のせいでしょ!?」
軽く頬を膨らませて藤井を見上げれば、フッと小さく笑ってベッと舌を出す。
そんないたずらっ子みたいな藤井にキュンとしてしまう私は、藤井にどこまでも深く深く堕ちていて、たぶん抜け出すことはもう不可能だ。
───グイッ
「夏乃の風邪菌、もっと貰っといてやるよ」
「は?ちょ……んっ!」
私の意思とは関係なしに、私の顎をグイッと持ち上げた藤井がまた優しく甘いキスを降らす。
最初はゆっくり、
数回優しく触れて、チュッと軽く音を立てては離れるキス。
それが気づけばどんどん深くなって、ボーッとする頭で必死についていく私の息は荒い。
息の仕方が分からない私に、絶妙なタイミングで酸素を与えて、またすぐに柔らかい唇で塞ぐ藤井がやけに男で、
いや、藤井はそりゃ男なんだけど。
なんて言えばいいんだろう。
藤井なんかに、こんなにも"男の人"感じてときめいてる自分がまたちょっと悔しい。
「歯止め効かなくなる前に、やめねーと」
そう言いながらも、また重なる唇に
もう、歯止めきいてないじゃんか!!
なんていう暇も藤井はくれない。
藤井のブレザーの胸元をギュッと握って、唇が重なる度にジンジンと甘く疼いて、心臓が壊れちゃうんじゃないかって、思った。
でも、壊れてもいいって思うくらい
満たされて、幸せで。
藤井が好きだなって思った。