「……なんか、藤井慣れてない?」

「いや、全然」

「嘘だ!私ばっか余裕ないじゃん」

「バカ。こっちだって心臓止まりそうだっつーの」

「っ……」



周りに言わせりゃたかがキスくらいで?って、思われるかもしれないけど、経験がない私はドキドキしすぎて、本当に心臓止まりそうって思ってて、



もし、それが藤井も同じならこんなに嬉しいことはない。


私の背中に腕を回して熱でモウロウとする私の体を起こした藤井は、私の背中を壁に寄りかからせると、いたずらっ子みたいに笑った。


「……なんか、もう。俺、夏乃がいればいいや」

「……なに、急に」

「俺、夏乃しかいらない」



もう、だめた。

藤井の甘さは心臓に悪い。
どんどん、甘い熱が私の体を蝕んでいく感覚に陥って、フワフワとどこかに意識が飛んでしまいそうになる。



「……当たり前でしょ?こんなに藤井を好きでいれるのは、私くらいなんだから」



フッと笑った藤井が、私をギュッとキツく抱きしめる。苦しいくらいに強く、離さないって言われてるみたいに、キツく。

だけど、不思議と嫌じゃない。