俺は2年ちょっと、夏乃の何を見てきたんだろう。夏乃のことなら結構分かってるつもりだったのに。



「……分かってるよ、んなこと」

「分かってるんだ?!」

「……っ、うっせ!クロワッサン買って帰る」




夏乃のことは、俺が1番分かってたいのに。
夏乃にとって、俺が1番近い存在でありたいのに。



……なんかやけに、離れた場所に来ちまったな。



「夏乃ちゃんの分も持っていきな!いっぱい入れてあげるから」


ふんわり工房と書かれた紙袋に、次から次へとクロワッサンを詰め込むみいは「夏乃ちゃんには大きいヤツ入れてあげよ〜」なんて嬉しそうに頬を緩めてて、


俺も思わず口元が緩む。



あーあ、夏乃に……会いてぇな。



『ね、藤井!!クロワッサンってさ!なんで外はサクサクなのに、中はフワフワモチモチなんだろうね!』



初めてこの店に来た時に、嬉しそうにクロワッサンを食べる夏乃が脳裏を過ぎっては、


俺をどんどん寂しくしていく。