「ゆゆの…ちゃん?」

「え…?」

入学式の日、クラス発表の掲示板前でそう呼ばれた。

この高校に友達はいないのに、知らない声で呼ばれて少し恐怖があった。


振り向くと、男の子がこちらをみていた。


近づいてくるその姿は知らないはずなのになぜか懐かしさを感じた。

「あ…。すみません。昔にあった子に似ていたので…。人違いですよね。」

「いえ。大丈夫です。」

それだけ言うと男の子は去って行った。