「っ!?」
いつの間に取り出したのだろう、猫くんの手には、あのピンクのハンドキャッチャーが。
それをこちらに構えている猫くん。
「……なに」
「え?」
「行きたいの? 花火大会」
「……」
いつも、部屋で見ているだけだった。
部屋の電気を消して、暗くして。
テレビの音を大きくして、一人で見ているだけだった。
「………い、行ったことないから、行ってみたい……!!」
「ふーん……じゃ、行く?」
「っ!! いいの!?」
「陽愛が行きたいなら、行くよ」
やったー!!
と、ぴょんぴょん跳ねて喜んでいた私に、猫くんがくすりと笑って付け足した。
「ただし、それまでに課題を終わらせられたら……ね?」