振り返ると、そこにいたのはやっぱり。
「玲央くん」
今朝の事を思い出し、かあっと顔が熱くなる。
「あの…さ、今朝のことでなんだけど…」
「う、ん…」
どうしよう、早くしないと猫くん学校出ちゃう。
猫くんの家、知らないのに。
届けられない。
……猫くんと、話せない。
目の前に、真剣な顔をしている玲央くんがいるというのに
私の頭の中は、猫くんでいっぱいになっていた。
放課後の教室には、いつの間にか私たち2人しかいなくなっていた。
「なあ、陽愛」
「あの…!!」
鈍感な私だって、これから玲央くんが話そうとしていることくらいわかった。
だからつい、玲央くんの言葉を遮ってしまった。