お昼休みを終えた私たちは、教室へと戻り、いつも通り午後の授業を受けた。
ただ、猫くんとは一度も目を合わせないまま…。
時間はあっという間にすぎ、私の様子を察したのか、猫くんは何も言わず先に帰って行ってしまった。
「…はあ、」
猫くんが教室を出ると、自然とため息が漏れた。
お昼はごめんねって、言いたかったのにな。
ふと、猫くんの机に目をやると、きらりと光る物が。
「あれ、これ…」
猫くんがいつもつけてるピン。
忘れて行ってしまったようだ。
「…届けなきゃ」
届けて、今日はごめんねって、ちゃんと謝ろう。
仲直りしたい。
…話したい。
急いで帰り支度をしている時だった。
「陽愛」
後ろから、聞き覚えのある声に名前を呼ばれる。