家について、ベッドに横たわり目を閉じる。
真っ先に浮かんだのは、教室で犬っころと話していたときのあいつの顔。
一緒に帰ろうと誘われたときの、それ。
真っ赤な顔して、けど困ったような顔。
それを見て、胸がぎゅっと苦しくなって、苛ついて。
何。
一緒に帰ろうとするとか本当にバカなの?
下心があるに決まってるじゃん。
そんなことも知らないの?
マジでバカなの?
むしゃくしゃする。
むしゃくしゃする。
俺で、俺のことで、俺だけのことで困っててよ。
そんな思いでいっぱいで、気づけばキスをしていた。
夕陽のせいも相まって、いつも以上に顔を真っ赤にして。
そうそう、その顔その顔。
その顔を見て満足して、そしてやっと自分が取った行動を理解して。
普通を装って、あいつを一人残して帰ってきてしまった。