「三毛のこと、好きなの?」

「!?」


俺は、自分の耳を疑った。

犬っころ、なんてこと聞いてんだよ。


「…え!?」


あいつの驚きに満ちた声がここまではっきり聞こえてくる。


「い、いや…」

「っ、」


『いや、』という言葉が聞こえた瞬間。


石化したように動かなかった体から力が抜けて。

気づけば教室に入って行ってしまっていた。



「別にそんなんじゃ……っ!!?」



言うな。


その先を、言わないで。



……あんたの口から、聞きたくない。