今まで、なんとも思ってなかったのに。
「猫くん」
今日、最後の授業が終わった後、あいつに呼び止められた。
「放課後、話したいことがあるの。噂が立つのも嫌だし、みんなが帰るまで待ってて」
なんだろうと、純粋に疑問だった。
さすがに、手紙風に折った物のなかからまた手紙風の白紙、さらにその中から白紙、最終的には白紙、というマトリョーシカ嫌がらせはまずかった?
ねえ、傷ついちゃった?
悲しくなっちゃった?
俺からの手紙なんて、一体なんだろうって、もしかして期待しちゃった?
もう関わらないでって言いたくなったのかな。
……それはそれで、逆効果なんだけどね。
今までよりいっそう、いじってやりたくなるだけなんだけどね。
はい、残念でしたーっ。
そんなことを考えながら待っていれば、どうだ。
「なんでこんなことするの!?」
ということを話したかったらしい。
いや、そんなことわざわざ放課後に聞く?
面倒になった俺は適当にあしらって話を終わらせ、先に教室を出た。
その時廊下ですれ違ったのが……あいつだった。