運動が苦手なあたしは、体育なんて大嫌いで、運動会なんてもってのほかだった。
でもそんな憂鬱な運動会も、秋になればやってきてしまうわけで。
「あと1ヶ月とちょっとで運動会じゃん!」
授業中、近くでひかるがはしゃいでるのも、凄く気に食わなかった。
1、2組合同で行われた体育の時間に、紅白と地区の選抜リレーの選手が発表された。
男女別に行われる紅白リレー。
それは赤組と白組、各組の中で、赤組は『赤組』と『黄組』。白組は『白組』と『青組』に分かれて行われる。
4つの組は、1年生から6年生まで、足の速い人がバトンを繋げる。
各学年2人ずつだ。
3年生の女子は25人で、そのなかで8人リレーの選手になれるわけなのだが…。
もちろんあたしには関係ないものなわけで。
「赤組ーー、黄組ーー、白組ーー、青組ーー」
着々と発表が進む中、こーゆーのに選ばれたらかっこいいなぁなんて関係ないことを思っていた。
「もう1回言うぞ、呼ばれたら返事して立てー」
「ーーーーーーー、青組ー、藤田梨帆」
え?
「藤田!お前だよ、返事して立つ!」
「え、あ、りほ?え!は、はい!」
自分が呼ばれたことが、理解できなかった。
近くにいたひーちゃんが、
「りーちゃんすごいね!おめでとう!」
自分のことのように喜んでくれた。
紅白リレーと地区リレーの選手が発表されて、ちょうどその授業は終わった。
教室に戻って次の授業の用意をしていると、ひかるが話しかけてきた。
「りほ、お前運動神経悪いとか言ってるくせにリレーの選手選ばれてんじゃん」
「うん、なんかびっくりした。ひかるも選ばれてたね、おめでと」
「はっ、選ばれるに決まってんじゃん」
「はいはい、運動神経抜群のひかる様だもんねー?」
いつも通りのひかるとのやり取りも、なんだか少し、楽しかった。