3年生になるときのクラス替えでもひーちゃんと一緒になれて、心細かったのが、一気に安心した気持ちになった。

3年生に上がると、クラスの中のグループというものが今まではなんとなくだったものが、確定し始める。

あたしは、ひーちゃんと2人が多かった。

でも、3人組とかになると、ひーちゃんと幼稚園が一緒だったののちゃんとも一緒になることがあった。



「じゃあ3年生になってからの最初の時間は、自己紹介をします。1人ずつ前に出てきて発表してくださいね」

どーする?なんて席が近くなったひーちゃんと一緒に話していた。



「柏木ひよです。好きな色は水色です。よろしくお願いします。」

ひーちゃんは、あんなに心配してたとは思えないくらい、完璧な自己紹介を見せた。



半分くらい終わり、もうすぐあたしの番だというとき。

「永野光瑠(ナガノヒカル)です。好きなスポーツは野球です。よろしくお願いします」

あたしはそいつを見て思い出した。

ながのひかると、言い争った毎日を。


げっ…ながのひかると同じクラスだ…。



そんなことを思っていると、自分の番になった。

緊張しながら前に出た。

「えっと、藤田梨帆(フジタリホ)です。好きな食べ物は…あ、さくらんぼです。よろしくお願いします」


拍手に包まれながら席に戻る。

なかなか恥ずかしいものだと実感した。


「りーちゃん、かっこよかったぁ!」

ひーちゃんが褒めてくれたから、恥ずかしいことも忘れて、嬉しくなったけど。




同じクラスで過ごしていく中で、ながのひかるとも関わる機会が多くなった。

でもながのひかるはあたしのこと覚えていないみたいだったし、あのときより性格が丸くなって話しやすかった。

だからあたしは、2年生の頃のことをわざわざ掘り返したりもせずに、普通にながのひかると喋っていた。