「…光瑠が、あたしのこと避けだしたんじゃん」
「は?」
「光瑠が、喋りかけてくれなくなったんだよ。ほのかちゃんと、仲良くなってから」
あたし、すごい。
頑張った、勇気出した。
「そんなことは、ないけど…。とにかく!梨帆と前みたいになりたいんだけど」
こんなことで、ときめいちゃダメ。
多分これは、あたしのためじゃない。
…って思ってないと、期待しちゃうから。
前みたいに戻りたいって思ってるのはあたしだけじゃないのかなって。
期待するから。
「なんで?なんのため?…誰のため?」
「は?なんのためって…。そんなのないけど」
「ほのかちゃんのため?」
「だから、なんで梨帆はそこでほのかを出してくんの?」
…そんなの決まってんじゃん。
「今の光瑠の1番が、ほのかちゃんだから」
葉月のことも、ほのかちゃんのことも。
色々あって、小学生の頃みたいに、純粋に光瑠を想えないの。
前までは『光瑠を好きでいれればそれでいい!』って、そう思っていたけど。
中学生になるとそうもいかない。
ドロドロした感情が、心の中で渦を巻くの。
「オレの1番がほのかって何?」
「…ごめん」
違う、今のは完全に八つ当たりだ。
家でも学校でも大変で。
「…光瑠は、ほんとにあたしと仲良い感じに戻りたい?心からそう思ってくれてるんなら凄い嬉しい。だけど、もうあたし達は無理だよ。小学生じゃないんだから」
光瑠は訳分からないと言う目であたしを見てくる。
あたしも、自分で言ってることがよくわからない。
光瑠が仲良くしたいって言ってくれてるんなら、受け入れればいいのに。
あたしは何を迷ってるんだろう。
胸の奥に、突っかかっているものは、何なんだろう。
「ごめんね光瑠。また新学期」
そう言ってあたしは止めておいた自転車を跨ぐ。
あたしはその場から離れていった。