光瑠との距離は戻らないまま、夏休みになった。







あたしは毎日部活漬けで、もう嫌になってきている。

3年生の先輩方が引退して、2年生の先輩たちの代になって。

少しずつ変わる日常なのに、あたしと光瑠の距離だけは何も変わらない。











8月上旬。

その日の夜は暑くてじめじめしてて、外を見ると雨が降っていた。

あたしはベッドの上でゴロゴロ漫画を読んでいた。



──ピロン

LINEの通知音が鳴る。

段々スマホを持ち始める人が増え、友達のやり取りもLINEが多くなった。


あたしももちろん買ってもらってたし、葉月も買ってもらった。

光瑠は、まだだけど…。

どうせなら、6年のときに光瑠とLINE繋がってたかった。

なんて、今更だからしょうがない。








スマホを手に取り画面を見る。


…ディスプレイに表示されたのは、、

それを見た瞬間、言葉が出なかった。







『葉月
今日ね、光瑠と遊んだんだー』

いつの間にか光瑠を呼び捨てにしてる葉月。

え、や、いや今、そんなことはどうでもいい。





なんで、なんで…?




震える指先で、動揺を悟られないような内容の文章を打つ。

『え、なに、もしかしてふたりきり!?w』

すぐに既読がついて、返信が来た。

『なわけ、w ○○ちゃんも一緒に私んちで夏休みの課題やってたーww』





なんで、なんで、なんで…?

もう無理だよ、嫌だよ。

なんで?葉月は光瑠と違うクラスじゃん。

なのになんでそんな…。





それからも葉月と会話をしていたけど、なにも頭に入ってこない。

無理やり会話を終えさせて、あたしは布団の中に潜った。