「あーあ、あとちょっとでテストじゃん」
「初テスト!ドキドキすんね…」
クラスで仲良くなった子と喋っていた。
あたし達の学校は、一学期に1回、二学期に2回、三学期に1回定期テストがあるらしい。
あと少しで一学期の期末テスト。
中学に入って初のテストはどんな感じなんだろう。
あたしの学力は、この学校でどれくらいなんだろう。
人より頭がいいと言われてきたあたしは、ちゃんとした学力で通用するんだろうか。
「梨帆は普段アホだけど、勉強面強いから」
…藍。
「普段アホってどーゆーことだし。ほんと藍って嫌なやつ」
藍も最近ほのかちゃんと沢山喋ってるせいか、なかなかあたしと喋らない。
藍に相談したくても、ほのかちゃんのことを悪く言ってはいけない気がして…。
…って、やめよ。
テスト前くらい、ほのかちゃんのこと考えんの。
授業を受けて、部活をやって、家に帰る。
いつもと同じ。
だけど今日からは、家に帰って勉強をしなくては…!
テストまであと2週間。
2週間前には範囲表が配布されるので、みんなここら辺から勉強し始めるらしい。
家に帰っても誰もいない。
暗い家の中で、夕飯は何かと冷蔵庫を漁ってみる。
「…なんもない」
またカップラーメン食べろってこと?
お母さんも忙しいのは分かってるけど、あたしの食べるものくらい用意してくれたって…。
ずっと料理は苦手だった。
でも最近ご飯がないことが多くて、キッチンに立って料理をするようになったら、そこそこのものは作れるようになった。
テキトーに野菜を刻んでご飯と炒める。
テキトーに味付けをして。
チャーハンの出来上がり。
いつもの献立。
作ろうと思えば他にも作れるようにはなったけど、チャーハンが1番簡単だったからこれが定番メニューになった。
自分の部屋に持って行って、食べながら勉強をする。
いつの間にか時計の短い針が10を過ぎている。
あー、食器洗って、寝よ。
──バタバタ。
玄関が開いて、リビングからテレビの音。
「うわ、帰ってきた。最悪…」
お父さんが帰ってきた音だ。
こんなことなら先に食器洗っとくんだった。
明日の朝までここに置いておくわけにもいかないし。
意を決して一階に降りていく。
「あぁ梨帆か。何食べたんだ?」
あたしの持っている食器を見て、お父さんが聞く。
「…なんでもいいでしょ」
「あぁ、まぁ。テレビでも見ないか?」
「…あたし、今テスト期間だから」
さっさと食器を洗って、二階に駆け上がる。
お父さんの溜息が聞こえた気がしたけど、心底どうでもいい。
「机の上は…このままでいっか」
そのままあたしはベッドにダイブして、眠りについた。