そんな期待とは裏腹に、あたしと光瑠の距離は少しずつ離れていった。
その代わり、違う女の子と仲良くなってって…。
5月の終わりごろになると、ホントに光瑠とは喋らなかった。
あんなに仲良かったのが、嘘みたいだった。
光瑠は少しあたしのことを避けているようにも思えたし、あたしも光瑠に喋りかけられなくなっていた。
なんでなのかは分からない。
だけど、あたしと光瑠の距離が開いたのは確実だつた。
「のーのちゃん!あたしねー今日の朝ね…」
そして、あたしは自分のことを『りほ』と呼ぶのをやめた。
中学生になったから。
だけど、小学校のころの自分と少しずつ違くなっているようで嫌だった。
でもそうじゃないと光瑠に『女の子』として見てもらえないような気がして。
どうしても、もう1度光瑠と仲良く喋りたかった。
あたし、葉月とののちゃんは卓球部に入り、光瑠はバスケ部、藍は陸上部に入った。
部活の時間、同じ体育館の中で光瑠のことを見れる。
そんなことが卓球部への入部を決めた理由のひとつだったりする。
ただ、光瑠のことを見れても、何も出来ない日々が続く。
それに席替えもしてしまって、光瑠の隣じゃ無くなってしまう。
あたしの代わりに光瑠の隣になった子は…、
ほのかちゃんという女の子。
ほのかちゃんと光瑠は、まるで小学校のころのあたしと光瑠みたいだった。
ほのかちゃんを見てると胸がざわつく。
光瑠が、今仲良くしてる女の子は、
仲良くしたい女の子は、
あたしじゃなくて、ほのかちゃん──。