「いやいや、これは必ず聞くべし重要事項でしょ」

大きな声でそう言うから、また注目される。

もう嫌なんだよ、光瑠が注目されるの。


「彼氏がいるかは秘密です」

先生は明るくそう言った。





先生と盛り上がって、もうすぐで入学式が始まる時間になる。

「それでは体育館に移動しますので、廊下に出席番号順で並んでください」

光瑠の前後に並んだのは、知らない女の子。

光瑠は、前の女の子と少し喋っていた。



…ホントに、嫌だ。

あたしたちの世界なんか広がらなきゃいいのに。





「梨帆、早く並んで。お前が並ばないとオレら並べないんだけど」

後ろから、少し低めの声が聞こえる。

「…藍。ごめん」


藍に謝って、すぐ列に入る。

光瑠とその女の子は見えなくなって、どうなったか分からない。




「光瑠がどうなってんのか気になんのは分かるけど、中学入ってんだからしょーがないんじゃね?他の女子と仲良くなっちゃうのは」

藍は小さな声であたしに言う。

藍に光瑠との恋愛ネタを振られたのが、とてつもなく驚いた。

「…そうかもしれないけど。りほは仲良くしてたい」


藍だから、本音も言えた。

藍には、ちゃんとホントのことを話せる。

「光瑠も梨帆と同じこと考えてるんじゃね?」



…だといいけどなぁ。