「りほなにやってんの、今オレがいなかったらヤバかったよね?」
校舎に歩いて向かう途中。
ひかるに怒られてる真っ最中。
…5cmの距離は、1歩歩くと同時にだんだん広がっていく。
「ごめん、ひかるが飛んだから行けると思った」
「りほは運動神経悪いじゃん。無理してんじゃん、あんなの」
「り、りほ運動神経そんな悪くない…!」
ひかるに心配されてるんだって、嬉しくなる。
こんなことで顔が紅潮する自分が恥ずかしくなる。
そんな距離は、卒業に向かってもっと縮まっていった。
──あたしバカだから、期待しちゃってたんだよ。
なにがあっても大丈夫だって。
ひかると1番仲良い女子はあたしだって。
今思えば恥ずかしいけど、ひかるの好きな女子は。
多分あたしだって。
ほんとバカだよね。ありえない。
2学期が終わって、冬休みが来て、卒業式が近くなる。
少しずつだけど、あたしの小学校6年間が終わろうとしていた。