家に帰っても、イタズラ顔で笑ったひかるの顔が頭から離れなくて、それを思い出すとドキドキした。

4年生の最後、原因不明だったひかるを目で追っていた自分の行動。

5年生のクラス替えのとき、ひかると一緒だったときに持った感情。

今なら少しわかる気がする。













多分、あたしは…










──ひかるに、初めての恋をした。














初めて喋ったときから、他の人とは何か違かったのかな?

あんなに嫌なヤツだったのに。

なんで、ひかるなんだろう…。


初めての恋はよく分からなくて、そんな感情は、ひーちゃんにも言えなかった。












生まれて初めての感情を自覚した、冬から春に向かう途中。





桜の花の蕾が、少しずつ、少しずつ色付いていく。






今年の春の訪れは、きっといつもとは違う。









あたしは、最上級生という立場に期待を膨らませながら春の訪れを待った。