──たくさん練習して迎えた運動会当日。

『プログラム15番、選抜選手による紅白リレーです』

放送が聞こえて、入場する。

初めて立った紅白リレーのフィールドは、周りの人の応援の熱気ですごかった。

『1年生がスタートしました』

スタートすると、あっという間に3年生の番がまわってくる。

『2年生から3年生にバトンが渡りそうです』


「はいっ!」

あたしはバトンをもらった瞬間全力で走る。

前を走ってる子を抜かして次の走者にバトンを渡したい。

縮まってく距離と反比例するように大きくなる会場の声援。

いろんな声が聞こえる中で、

「りほ!頑張れ!」

同じ組のひかるの声が聞こえた気がした。



『次の走者にバトンが渡ります。早く渡ったのはーー、青組です!』


あたしは放送で、自分が相手より早くバトンを渡せたことに気が付く。





『紅白リレーの結果を発表します。1位、赤組。2位、青組。3位、白組。4位、黄組。以上のような結果となりました』

結局あのあと赤組に抜かされてしまって2位だったけど、あたしは運動会の中で、初めて嬉しさを味わえた。



応援席に戻ると、ひーちゃんがあたしに駆け寄ってきた。


「りーちゃん!抜かしてたのかっこよかったよ!!」


その言葉をもらった瞬間、あたしは泣きそうになった。