「言ったよ。おめでとうって。そしたら園田くんも素敵な恋をしてねって言われた」
本当に唐突で、また主語はない。
でも園田がこっちを見て、とても良い顔をしてたから、また鼓動が速くなった。
頑張れるかな、私。
相手は園田だよ。
全然私の理想とは真逆の人だけど、きっと私は明日も園田のことを見てしまうと思うんだ。
だってきみのことが好きだから。
「カッコつけて『はい』って返事しちゃったし、とりあえず女遊びはやめて素敵な恋ってやつでもしてみるかな」
相手は私なんてどうですか、ってプレゼンでもしてみようか。
いや、さすがにまだ早い。
これから少しずつ園田のことを知って、私のことも知ってもらって。いつかきみに好きだと言えたらいいな。
ライバルは多いけど、園田を想う気持ちは負けない自信があるから。
「あ、そういえば次の授業の教科書もないや」
園田が私の顔色をうかがっている。
「仕方ないなあ。貸してあげるよ」
「え、どうした?優しいじゃん」
「心が広いんだよ、私は」
まだ片想いは続きそうだけど、どうやってきみを振り向かせようか、ちょっと今はわくわくしてる。
――〈片想いイズム〉