「はあっ…」

盛大なため息とともに斗真がその場に崩れ落ちた。

「だ、大丈夫?」
「大丈夫じゃねえ!心配しただろうがっ!」
「だって…」
「またあのときみたいなことになるかと…」
「ごめんね。ありがとう」
「なに笑ってんだよ」
「えへへ。だって、斗真カッコよかった」
「ばーか。俺はいつだってカッコいいの」
「知ってる」

表情を緩めた斗真が私の頬を軽くつねってくる。

「いはひぃ」
「ばーか」

あっ。斗真のえくぼ。

「スキ」
「知ってる」
「えっ?」

それって…。

「貴志くん、試合始まるよ」

誰よ。今、凄くいいところなのに!

その声に振り向くと、以前斗真にタオルを渡していた先輩だった。