僕がこの民宿で働かせてもらってもう三年ほどになる。

物心ついた頃にはここから離れたカシール地方の孤児院にいた。               カイトという名は両親がつけてくれた名前らしい。          両親は二人とも事故で亡くなってしまい、まだ赤ん坊だった僕はその孤児院に預けられたのだ。

その孤児院にはとても優しいおじさんの院長さんや保育員さんたちがいてとても大切に育ててもらった。                   しかし十歳頃になり僕も大きくなったのでこれ以上院長さんたちに迷惑をかけるわけにもいかず、飛び出して来たのだ。                     持っていたお金で汽車に乗り、たどり着いたのがこのリッドミルの街だった。



あの日も雨の日だった。


駅前で傘も無く途方に暮れていた僕に話しかけてくれたのがレイラおばさんだった。