「傘を持っていないのかね?」


「いえいえ!大丈夫です。雨もきっと止みますから」


「私のものを使いなさい。」
そう言うと男性は僕に傘をわたした。

「ダメですよ!そしたらおじいさんが濡れてしまいますよ!」



「私は大丈夫。これから乗り換えの汽車を待っていないといけないのでね。それに…」


男性は無言で僕の顔を見つめていた。



「…どうかしましたか?」



「いや…それに私の行く場所はここから遠いのでね。そこでは雨は降っていないだろう」