「え、如月先輩?」


「なんでもねー。行くぞ」


飯田は、私のショルダーバッグの紐を軽く引っ張ると、スタスタのホームセンターの中に入っていく。


5分10分の遅刻でそこまで怒るかね……。


『如月先輩』


飯田が名前を出したせいで、ふと先輩が普通に話しかけていいって言ってくれたことを思い出す。


何だかんだやっぱり優しいんだ。


飯田には悪いけど、一瞬だけ、先輩と学校以外の外で歩いてみたいななんて思った。


今の私には絶対叶わない夢だけど。


「くーるーはーらー!付き添いで来てやってんだ!ぼーっとすんなバカ!」


「は、ご、ごめん!待って!」


イラついた声に名前を呼ばれてハッとして歩き出す。付いてきてくれるって言った時はもう少し優しかったのに。なんだ飯田のやつ。


バカだけど、そんなに言わなくったって。