朝ご飯を食べて、いつも通りに彼方と一緒に学校へ行く。
いつもと違うのは、私と彼方が『恋人同士になった』という点だろう。
ただの幼馴染みだった頃と恋人同士になった今、いつも通りの日常でも、それはかなり違うものに見えてくる。
「柚月」
「なに?」
「手、繋いでもいい?」
なんて言いながら、彼方は私の返事を聞く前に手を繋ぐ。
「わ、私の返事を聞く前に握ったら、聞いた意味がないと、思いますっ」
「嫌ならほどいていいよ?」
「……嫌じゃないです」
繋がれた手はいわゆる恋人つなぎというやつで、見ると彼方はとても嬉しそうにしていて……
顔をちょっと赤くして嬉しそうにしてる彼方、凄く可愛い……。
なんて思っている、その時だった。
「おやおやこれは、朝から見せつけてくれるじゃないか!!」
「本当に朝から見せつけてくれるね!!」
思わず「へ?」と間抜けな声を出してしまう私。
声がした方を向くと、そこにはもちろん……
「おはよう近衛クン、一色クン!」
「ごきげんよう柚月さん! ……あとまあ、ついでに一色彼方にもごきげんようと言ってあげなくもないけれど」
「おはよう、鬼龍院くん、セレナちゃん!」
「おは、よう……って、なんでここにいるのあんたら?」
ちょっと呆れたように、彼方は二人のことを見た。