「……──き、ずき……柚月」

「……んん?」


うっすらと目を開けると彼方がいて、窓の外を見るともう朝になっていた。


今日は学校全体で文化祭の片付けを行うことになっている。

これが終われば、本当に文化祭実行委員としての仕事は全て終わりだ。


「寝癖、ついてる。可愛い」


私の整っていない髪の毛を、彼方はちょんちょんとつまむ。

今日も迎えに来てくれたんだろう、彼方はもうばっちりと制服を着ていた。


「彼方……おはよう」

「おはよう柚月。あ、ちょっとこっち向いて」

「んん?」


寝ぼけた頭のまま、言われたとおりに彼方の方を向く。

そしたらふにっと、彼方は私にキスを……


「っっ!?」

「おはよう、柚月」

「お、おお、おはよう彼方!! ってそうじゃなくて、い、今!!」

「しっかり目が覚めたようでよかった。じゃあ、外で待ってるね。それとも……」


「着替え、手伝ってあげようか?」と囁きながら、私のパジャマのボタンにそっと指をかける。


「け、けけ結構です!!」

「そう? 残念」


そんなことを言い残して、彼方は私の部屋から出て行った。


こ、これから毎日、こんなふうに朝起こされるかな私。

……ちょっと良いかも、なんて。へへ。