チュッと、やわらかいものが私の唇に触れる。


それは一瞬のように感じられたし、もの凄く長い時間のようにも感じられた。

触れた瞬間に閉じた目を、なかなか開けることができない。


「……柚月」


名前を呼ばれて、やっと目を開ける。

ゆっくりゆっくりと視界が開けて、その私の目には、本当に余裕のなさそうな彼方がうつりこんだ。


「もう一回、していい?」

「ふぁ!?」


もう一回っ!?


「…………うん」


頷くと彼方は優しく微笑んで、チゥッと、今度は角度を変えて私にキスをする。

最初はついばむように、気付くとそれはだんだんと深くなっていって……。


「んっ、ふぁ……かなっ、ん」


ぎゅっと、彼方の制服をつかむ。


頭、ふわふわしてきた……。